法律や税金の話、社会保険の手続きの説明は、なぜ分かりにくいのか??
- TVY所長 神田忠博
- 6月5日
- 読了時間: 4分
更新日:6月19日
会社で従業員向けに法律や税金、社会保険の周知のポスターを張り出した。
みんな真面目に読んでくれた。
ところが・・いまいち伝わらない。
結局のところ直接聞きに来て、
忙しい現場の事務担当が、てんてこまい・・・・
そんな状況を見たことがありませんか??
もしくは、専門家のHPで懇切丁寧に説明が書いてあったので、
じっくり読んでみた。
一つではなく、いろんなHPを行ったり来たりしながら読んでみた。
けれど・・・いまいち、スッキリ分からない。
そんな経験がありませんか??
「ポスター読んだけど、分かんないよ・・・
神田さん、結局のところ、あたしは何をすればいいの?」
かつて、私が大きな会社の支社の末端の人事労務・社会保険担当であった時、
こういう質問をよく受けました。
その会社では、本社の法律関係担当者や社会保険担当者が作った、
詳しく説明してあるポスターを張り出して、
対象になりそうな従業員さんには更に詳しい資料をお渡ししているのに、
その中の多くの皆さんが、よく私の所に直接、そう質問にいらっしゃいました。
「なぜ?」そんなことが起こるのでしょう??
なぜ分かりにくいのか?なぜ伝わらないのか?
「どうして?」知識豊富な担当者の作った資料は、一般の従業員には分かりづらいのか?
答えは簡単です。
「特定の分野に詳しい人が普段使っている言葉というのは、
専門じゃない人にとっては、意味が分からないことが多い」
ということです。
たとえば、
「健康保険の被扶養者資格再確認があるので・・・」
という連絡があったとします。
これ、
社会保険労務士やファイナンシャルプランナーなどの専門家や、
企業の人事部・労務部で働いている担当者、
実際の事務を取り扱っている現場の担当者など、
「携わったことがある方」や「調べたことがある方」にとっては、知っていること。
すぐに「ピン」と来たと思います。
一方、それ以外の方にとっては、
いきなりそんな難しい事を言われても、
「え?いや、あたし、扶養の範囲内で働いていますけど・・」
という感じで、
103万円の話なのか、106万円の話なのか、130万円の話なのか??
聞いたことはある気がするけど、実際の所、よく分からない、
となるのです。
では、
「被扶養者資格再確認」なら「ピン」と来た方、
「標準報酬月額の保険者決定」だったら、どうでしょう?
「雇用保険被保険者番号の統一」では?
「老齢・障害・遺族給付支給停止撤回申出書」は、いかがでしょう?
特に難しい話ではないのですが、比較的珍しい手続きです。
知っている人からしたら「当たり前の言葉」が、
分からない人には分からない、という例で挙げてみました。
つまり、
普段から、
その手の専門用語に関わる業務をされている方たちと、
そうでない方たちでは、
「日常、無意識に使っている言葉が違う」と言う事、なんです。
だから、分からない。
だから、伝わらない。
では、どうしたら良いのでしょうか?
これも、答えは簡単です。
「共通語」に翻訳してあげれば良いのです。
「共通語」とは、即ち、
あなたが、その分野に詳しくなる前に使っていた言葉です。
本サイトの「労務管理・顧問契約」ページなどでも書いていますが、
一般社会での当たり前の感覚を持って、
分かり易い言葉で丁寧に、伝わるようにご案内する
と、いうことです。
専門用語では何と言うか?とか、
それは何法の何条なのか?とか、
そんなことは、後で十分です。
あなたが伝えたいことを「あなたの言葉」で詳しく並べた文章と、
読む人に「分かってもらうための言葉」で書かれた文章とでは、
読む人の感じ方が全然違います。
そんなに難しい事ではありません。
お金も手間も、別段かかりません。
それで不幸になる人は、きっと、誰もいないはずです。
そういう所に気を配っていくことが、
会社全体の従業員満足度や働きやすさを増進していく、
最初の一歩なんだろう、と私は思います。
